各地の活動紹介

公益財団法人

   福井県国際交流協会

 

当協会では、県内在住の外国人を取り巻く医療の現状把握と課題整理のため、平成23年に外国人医療支援検討委員会を設置し、医療機関と在住外国人の双方に対してアンケート調査を実施しました。検討委員会から今後の方向性などについて提言を受け、平成25年度から4年間は、当協会通訳ボランティアの中から参加者を募り、中国語の医療通訳サポーターを養成する入門講座、基礎講座、勉強会を開催しました。同時に、中国語医療通訳者に同行する形で、医療機関での通訳実践を行っています。平成29年度は、中国語医療通訳サポーターを対象に、医療通訳レベルの総合評価を外部団体に依頼し、これまでの学習成果と現在の通訳技能を測定しました。

 

 今後は、多様化するニーズに対応していくため、医療通訳に対応可能な英語やポルトガル語等の医療通訳サポーターの養成を行っていくとともに、関係機関との連携による医療通訳派遣体制の整備など、外国人住民が安心して暮らせる地域づくりを進めていきたいと思います。

 

 

 

 

平成25年中国語医療通訳サポーター入門講座

平成28年中国語医療通訳サポーター勉強会(ロールプレイ演習の様子)


札幌医療通訳グループ(SEMI)

 

ことばが通じないため医療機関を受診する際に困っている外国人がいて、医療機関側も外国人患者の受け入れに困っていて、このためにお金を出す人が誰もいない、という状況のために私たちができることがないだろうかと考えた13名の有志が20094月に札幌医療通訳グループ(SEMISapporo English Medical InterpretersGroup)を設立しました。 

このときに、通訳料や交通費を患者さんから取るかどうかを考えた末、医療通訳がどんなに便利で必要なものかをまずは知ってもらうため、医療機関からも患者さんからも料金はいただかないということで、活動を始めました。初年度の通訳派遣件数は56件でしたが、その後は右肩上がりに増えて行き、創設以来2016年度までの8年間の通算派遣件数は3077件となりました。これはクライアントから費用をいただかないボランティア通訳の件数で、SEMIの会員が個別に病院やエージェントとの契約で行う有償通訳を入れるとSEMI会員が札幌で行っている医療通訳の全体の件数はさらに増えます。現在は25名の会員がいて、通訳者14名、他に研修者、Web担当、医療専門職等のスーパーバイザーがいます。

 

 

 

 

 

私たちの活動は、外国人の患者さんの医療機関受診や、札幌市の母子保健事業の一環である保健センターからの家庭訪問、健診などが中心です。この他に、公益財団法人札幌国際プラザとの共催で外国籍市民のための母子保健セミナーの開催や、医療従事者を対象とした英会話セミナーの講師を担当しています。ホームページでの様々な情報発信も行っています。例えば、札幌市の赤ちゃんのための予防接種のクーポン券となる予診票の英語版を作成し、SEMIのホームページからダウンロードしてそのままクーポン券として使えるようになっています。

私たちのクライアントの9割が北海道大学の留学生と外国人研究者およびその家族です。行政だけではなく、北海道大学とも連携した活動となっています。また、日本学生支援機構の中島記念財団からの助成金や札幌国際プラザとの共催事業への助成もSEMIの活動を支えています。

 


糸魚川国際人材サポート協会(IISA

 

糸魚川国際人材サポート協会(IISA)は、市の多文化共生社会への橋渡しを目指して、2009年に設立されました。 企業、個人のサポーターにより構成される協会です。

 

糸魚川市は人口43000人ほどの小さな市で、在住外国人のうち日本人の配偶者が70%ほどを占めています。市の高齢化が進むなか、次の世代を担う在住外国人が住みやすい環境を整えるため、地域で活躍できる人材を育成しています。活動の一つである「コミュニティ通訳」は、医療・行政・教育分野で、英語中国語、韓国語での通訳を利用できるシステムです。医療通訳は病院との連携もでき、年3回各師長との会議を持ち、情報交換や通訳の改善等を行っています。

2017年からは、市全域のクリニック(歯科医を除く)にも医療通訳が入れるようになりました。7月には「RASCコミュニティ通訳支援センター(Cots)」の協力で、「医療通訳フォーラムin糸魚川」を開催し、「大都市と小都市」、「点から面へ」をキーワードに、各地域で医療通訳実務を行っている人々が集まり、医療通訳システムの構築・運営のあり方と通訳人材の効果的な育成方法を議論しました。


特定非営利活動法人

群馬の医療と言語・文化を考える会

(Medical Interpreters in Gunma:MIG

 

 

「言語や文化の壁なく、皆が手をつなぎ、大切な命や健康を守ることができる社会の実現をめざし」

2013年任意団体として活動を始めました。群馬県では2006年に医療通訳ボランティア派遣制度が始まりました。当会は、更に医療機関や患者が利用しやすい、通訳者が活動しやすい制度を目指し、医療通訳者や関連職種の方も交えた講習会、医療通訳普及のためのシンポジウムの開催、言語グループ勉強会の支援を行ってきました。昨年度は助成金を利用し、約1年間の医療通訳者派無料派遣試行を行い、医療機関および患者さんからの180件の依頼に応じました。また、アンケート調査や意見交換を通じ、外国の方、通訳者、行政、医療機関、外国人支援団体、防災関連組織の皆さんの意識及び現状の把握に努めました。

 

これらの活動が認められ、群馬県から医療通訳ボランティア派遣のコーディネート業務を委託され、昨年度の実績・課題・反省を生かし患者さんや医療機関との連携を進めています。当会は、本年2月に特定非営利活動法人として体制も新たに活動を開始しました。現在、通訳者、医療関係者、弁護士、行政書士、薬剤師会など様々な業種の会員・賛助会員62名・団体からなる団体です。 

「困った時にはお互い様」と言える、言葉や文化の壁のない、皆がともに活動する中からうまれる力を信じて活動を広めたいと思います

 

 

 

 


(公財)宮城国際化協会(MIA)

 

当協会が保健・医療分野の通訳事業に取り組むことになったきっかけは、地域の保健師からのSOSにありました。宮城県をはじめとするこの東北地域では、アジアからの国際結婚移住者が県内各地に点在するという大きな特徴があり、母となった彼女たちが乳児健診などの場で言葉の支援を必要としていたのです。

しかし当時はまだ、健康や命に関わる分野に資格基準も曖昧な市民通訳を繋ぐことには否定的な意見も聞かれた時代でした。が、困っている現場を看過することはできず、折よく間近に「ワールドカップサッカー大会」や仙台青年会議所がホストとなる「アジア太平洋会議」などが迫っていたことから、本県がかつて経験したことのないほど多くの外国人を受け入れなければならないという危機感を訴えつつ行政の保健医療関係部局や医師会などとの協議を経て、20022月『MIA保健・医療通訳サポーター育成・紹介事業』の立ち上げに至りました。

保健師を講師に感染予防マスクN95

 

正しい装着法を学ぶ登録者たち

以来、医療分野だけではなく保健分野にも拘った運用を行ってきており、近年増加している結核患者対応においては、仙台市健康福祉局との間で「外国人等結核者等に対するサポート業務委託」を締結し、合同で研修会も実施しています。

登録者は、定住外国人の社会参画も進んでいることから、2017年3月末現在、28言語153人を数えています。

 

一方、少しずつ理解は進みつつあるものの、この15年間の最大かつ不変の課題は、医療機関での費用負担が進まないことです。私たちは、事業発足以来、医療従事者にとっても安心な診療とするための通訳活用を謳っており、一日も早く「療養の給付の対象となるサービス」に位置付けられることを願っております。

 


特定非営利活動法人CHARM

HIVに関する包括的多言語支援

Center for Health and Rights of Migrants(CHARM)は、日本でHIV/AIDSの感染が分かった外国籍の人々を支援する団体として2002年に大阪で活動を始めました。1990年後半には、建設業や性風俗産業などの業種で働く労働者が劣悪な労働現場で働いており、HIV/AIDSの患者も多く2000年には新規にHIV感染が分かった人の 20%(注1)が外国籍の人でした。

 

CHARMでは、HIV診療時等への医療通訳派遣の実施はもとより、日本語以外の言語を母語とする人が理解できる言語で書かれた性感染症に関する資料の作成、自治体やNGOによるHIV検査の多言語化への働きかけと実施への協力など、HIVとの接点を持った人が途切れなく言語の面で不安なく支援されることを目指してきました。

HIV/AIDSを取り巻く医療の状況は薬の開発と共に20年の間に大きく変わりましたが、HIVに関する理解の広がりや偏見の解消、日本語以外の言語を母語にする人達への配慮については20年間で改善されたとは言いがたい現実があります。日本での治療方法や社会福祉制度に関する情報を日本語以外の言語で見つける事は、いまだに難しいのが現実です

 

 

CHARMでは2017年度にホームページを改訂し、医療や福祉に関する新しい情報を8言語で提供していきます。HIVや社会福祉について知りたい時に使っていただけるHPにしていきたいと思います。(http://www.charmjapan.com)どうぞ宜しくお願いします

(注1)厚生労働省エイズ動向委員会「平成12年エイズ発生動向年報」


 (公財)

静岡県国際交流協会(SIR)

 

静岡県国際交流協会は、平成元年11月、民間の国際交流活動の拠点として設立されました。

 県内の病院では、専属通訳者が在籍する病院は少なく、病院も外国人患者も大変不安を抱えての診療を余儀なくされていることから、当協会では、外国人相談員や病院からの要望を受け、外国人医療支援事業として、病院と連携しながら、様々な事業に取り組んでいます。

 

平成25年度に、静岡県内医療機関の外国人受診者対応に関する現状調査を行い、平成267月から、静岡県の中部拠点病院として、静岡済生会総合病院へポルトガル語・スペイン語通訳対応の医療通訳者を派遣しています。

201724日 医療通訳研修会

併せて、医療通訳者を対象とした医療通訳研修会や医療従事者を対象とした外国人患者への接し方講座を東・中・西部の拠点病院にて行い、医療通訳の役割や医療通訳者を介しての診療にご理解をいただきながら、その他の病院へも医療通訳者の派遣を行っています。


NPO法人多言語センターFACIL

(兵庫県神戸市)

 

1999年の団体設立後、さまざまな相談から医療通訳の必要性を実感し、2003年から独自に助成金を得て医療通訳システム構築に乗り出した。2011年からは協力病院が費用を一部負担する現行のモデル事業を行っている。現在、協力病院は6病院。患者が病院に依頼し、病院からの依頼でFACILがコーディネート、医療通訳者が当日受付から診察、検査、会計まで随行している。

モデル事業開始の2011年度は6件のみの利用だったが、患者間で情報が広がり、昨年度は362件となった。医療通訳の利用により患者と医療従事者の意思疎通がスムーズになり、医療従事者がわかりやすい説明を心がけるようになるなど良い変化が起こっている。医療現場でのコミュニケーション不足は患者の生死に関わる場合もあり、患者と医療従事者双方にとって医療通訳は重要である。しかし、その手配や費用負担は患者が負うものという考え方が根強く、社会的に必要なものという認識に至りにくい。そこで医療通訳の意義を伝えるために、「医療機関向け」医療通訳研修を毎年行っている。さらに今年度は行政や市民団体、外国人コミュニティと協力し、医療通訳の制度化を目指す研究会とオープンフォーラムを開催し、国への提言を準備中である。

 

201698日 

 

医療通訳制度確立に向けた研究会

(第1回)

201624日 

 

医療通訳の必要性を再考する

オープンフォーラム

-現場の経験から見えてきたことと今後-


特定非営利活動法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)

神奈川県医療通訳システムの協働事業者として医療機関に年間6000件以上の医療通訳派遣を行っているNPOです。

「人種・国籍・文化に関わらず、誰もが安心して医療を受けられるような社会にしなければならない」という強い思いを共有するボランティア、医療関係者そして外国籍住民自身等によって、医療通訳の養成と派遣を行う「MICかながわ」は生まれました。

今年度の新人通訳養成研修が終わり、病院研修が始まりました。病院研修がすむと独り立ちです。

「通訳の心得」の研修
「通訳の心得」の研修

今年度は、英語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語、ロシア語を募集しました。


医療通訳研究会(MEDINT)

医療通訳研究会(MEDINT)200210月、外国人医療の問題を「言葉と医療」の視点から考える医療通訳者団体として神戸で設立しました。すべての外国人が、医療通訳を利用できる社会システム作りを目指しています。そのための活動として医療通訳者のための基礎研修を中心に、所属団体を超えて英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語の医療言語分科会外の開催、通訳ユーザーのトレーニング、医療通訳に関するシンポジウムなどを行っています。


三重県国際交流財団(MIEF)

三重県国際交流財団(以下、MIEF=ミエフ)は、1991年に設立された地域国際化協会です。MIEFでは、2003年度から県の受託により、医療通訳研修を実施しています。研修終了後、登録試験を経て、MIEF医療パートナーに登録していただいています。

現在、医療機関、保健センターや外国人患者からの依頼に基づき、医療パートナー(ポルトガル語、スペイン語、フィリピノ語、中国語、英語)を派遣する制度と、医療機関に医療通訳者(ポルトガル語)が常駐し通訳を行う医療通訳は一事業を実施しています。医療通訳は一事業は、3医療機関と3保健センターからの受託により医療通訳者を配置しています。

 

 

今年度は、医療パートナー等、県内の医療通訳者が集う交流会を開催しました。通訳者同士が意見交換したり、先輩通訳者に質問したりと、活発に交流する様子見られました。